肝障害のある患者(Child-Pugh分類Aの肝硬変のある患者等)又は肝障害の既往歴のある患者に投与する場合には、必要に応じてパルモディア錠の減量を考慮してください。また、パルモディア錠の増量の必要性を慎重に判断してください。肝機能検査値の異常があらわれるおそれがあります。また、肝障害のある患者(Child-Pugh分類Aの肝硬変のある患者等)ではパルモディア錠の血漿中濃度が上昇するおそれがあります2)。
なお、パルモディア錠は肝機能及び肝機能検査値に影響を及ぼすことがあるので、投与中は定期的に肝機能検査を行ってください3)。
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版においては、薬物療法開始後半年間は2~3回程度、その後は3~6ヵ月に1回程度、定期的に検査を行うのが望ましいとされています4)。
パルモディア錠投与後も同様と考えます。
〇肝機能障害別の副作用発現状況(プラセボ群24週時、パルモディア錠投与群52週時)
国内で脂質異常症患者を対象として実施した臨床試験(K-877-04、K-877-09、K-877-11、K-877-13~17、K-877-19)の併合解析の結果は以下のとおりでした5)。
肝機能障害患者[肝胆道系障害(SOC)に該当する合併症有]・・・プラセボ群:154例中20例(13.0%)、パルモディア錠投与群:685例中145例(21.2%)
AST、ALTのいずれか一方が基準値*上限を超えている症例・・・プラセボ群:83例中10例(12.0%)、パルモディア錠投与群:338例中50例(14.8%)
AST、ALTのいずれも基準値*上限以下の症例・・・プラセボ群:212例中24例(11.3%)、パルモディア錠投与群:1,063例中153例(14.4%)
*基準値AST:10~40IU/L、ALT:5~45IU/L
〇肝機能障害患者における薬物動態
重篤な肝障害のある患者に対する使用経験はありませんが、肝機能障害患者を対象とした薬物動態試験の結果、肝硬変Child-Pugh分類B群において、パルモディア錠の血漿中濃度が著しく上昇し(Cmaxで約3.9倍、AUCで約4.2倍)、肝硬変の程度に応じた増加が認められました1,6)。
また、肝硬変Child-Pugh分類A群において、パルモディア錠の血漿中濃度が肝機能正常群と比較して上昇しました(Cmaxで約2.3倍、AUCで約2.1倍)2)。
脂肪肝患者群のCmax及びAUC0-t(幾何平均値)は、肝機能正常者群と比較してわずかに高い傾向(約1.2倍)を認めています6)。
参考資料
1)パルモディア錠 インタビューフォーム 2023年11月改訂(第14版) Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 2.禁忌内容とその理由
2)パルモディア錠 インタビューフォーム 2023年11月改訂(第14版) Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 6.特定の背景を有する患者に関する注意 (3)肝機能障害患者
3)パルモディア錠 電子添文 2023年11月改訂(第1版) 8. 重要な基本的注意 8.3
4)動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版
5)パルモディア錠 インタビューフォーム 2023年11月改訂(第14版) Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 8.副作用 (2)その他の副作用 2)基礎疾患、合併症、重症度及び手術の有無等背景別の副作用発現頻度
6)パルモディア錠 インタビューフォーム 2023年11月改訂(第14版) Ⅶ.薬物動態に関する項目 10.特定の背景を有する患者 (1)肝機能障害患者における薬物動態 脂肪肝患者及び肝硬変患者を対象とした薬物動態試験(K-877-10)
作成年月
2024年7月