eGFRが30mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者に投与する場合には、低用量からの投与開始、減量又は投与間隔の延長を行ってください。また、最大用量は1日0.2mgまでとしてください1)。
また、腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者にパルモディア錠とHMG-CoA還元酵素阻害薬を併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用してください。やむを得ず併用する場合には、パルモディア錠を少量から投与開始するとともに、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止してください2)。
〇腎機能障害別の副作用発現頻度(プラセボ群24週時、パルモディア錠投与群52週時)
国内で脂質異常症患者を対象として実施した臨床試験(K-877-04、K-877-09、K-877-11、K-877-13~17、K-877-19)の併合解析の結果は以下のとおりでした3)。
腎機能障害患者(eGFR60mL/min/1.73m2未満)かつスタチンの併用有・・・プラセボ群:35例中9例(25.7%)、パルモディア錠投与群:90例中24例(26.7%)
eGFR60mL/min/1.73m2以上の症例・・・プラセボ群:254例中26例(10.2%)、パルモディア錠投与群:1,233例中162例(13.1%)
eGFR60mL/min/1.73m2未満の症例・・・プラセボ群:44例中9例(20.5%)、パルモディア錠投与群:185例中44例(23.8%)
〇腎機能障害患者における薬物動態
成人男性の腎機能正常者(80mL/min≦Ccr、8例)、腎機能障害患者(軽度(50≦Ccr<80mL/min、8例)、中等度(30≦Ccr<50mL/min、9例)、高度(Ccr<30mL/min、8例)及び末期腎不全(血液透析で治療中、8例))にパルモディア錠0.2mgを空腹時に単回経口投与したとき、Cmax及びAUC0-t(幾何平均値)は、腎機能正常者群と比較し腎機能障害患者群で1.1~1.6倍の増加がみられましたが、腎機能障害の程度に依存した増加は認められませんでした4)。
<参考>
HMG-CoA還元酵素阻害薬と併用する場合、危険因子として「腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者」と記載しています。
目安として確立したものではありませんが、承認時までの国内臨床試験において、パルモディア錠とHMG-CoA還元酵素阻害薬を併用する試験では、血清クレアチニン値が1.5mg/dL以上あるいはeGFR値が45mL/min/1.73m2未満の患者を腎機能に異常が認められる患者として除外して実施しました2)。
以前(2022年10月12日付けの厚生労働省の通知前)は、血清クレアチニン値が2.5mg/dL以上又はクレアチニンクリアランスが40mL/min未満の腎障害のある患者には禁忌でした。血清クレアチニン値1.5mg/dL以上2.5mg/dL未満の場合は低用量から投与を開始するか、投与間隔を延長して使用することとなっていました5)。
現在は腎機能障害患者に関する禁忌はありません。
参考資料
1)パルモディア錠 電子添文 2023年11月改訂(第1版) 7. 用法及び用量に関連する注意
2)パルモディア錠 インタビューフォーム 2023年11月改訂(第14版) Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 6.特定の背景を有する患者に関する注意 (2)腎機能障害患者
3)パルモディア錠 インタビューフォーム 2023年11月改訂(第14版) Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 8.副作用 (2)その他の副作用 2)基礎疾患、合併症、重症度及び手術の有無等背景別の副作用発現頻度
4)パルモディア錠 インタビューフォーム 2023年11月改訂(第14版) Ⅶ.薬物動態に関する項目 10.特定の背景を有する患者 (2)腎機能障害患者における薬物動態 ①腎機能障害患者を対象とした薬物動態試験(K-877-12)
5)2022年10月12日薬生安発1012第3号 別紙1
作成年月
2024年7月