イソバイド - Isobide

イソバイド:メニエール病に対する用量検討試験

対象

メニエール病の確実例及び疑い例の患者87例/12施設

方法

イソバイドの1日投与量を30,60,90及び120mLの4群に分け、4週間投与し、各投与群の全般改善度、安全度、有用度よりイソバイドの至適用量を検討した。

結果

30及び60mL投与群では、高用量群に比べて改善度が下回ることから用量不足がうかがわれ、薬効発現の上での用量としては1日90mL以上の投与が必要と考えられた。
また、120mL投与群では副作用発現率が他の群を上回るとともに安全度が劣ったが、全般改善度と安全度とを加味した有用度から判断すると、90mL群と120mL群に有意差は認められなかった。

投与量(例数) 30mL群
(n=23)
60mL群
(n=22)
90mL群
(n=18)
120mL群
(n=22)
Wilcoxon
順位和検定
χ2または
Fisher検定
全般改善度 著明改善 0 0 2 1

90mL群30mL群**

90mL群60mL群†

120mL群30mL群*

90mL群30mL群**

120mL群30mL群*

(軽度改善以上)
中等度改善 4 4 4 7
軽度改善 3 7 7 7
不変 12 9 5 4
悪化 4 2 0 3
安全度 投与中止かつ
特別の治療
0 0 0 0 60mL群>120mL群* 60mL群>120mL群* (軽度の副作用以上)
副作用で投薬中止 0 0 1 2
中等度の副作用 0 0 0 0
軽度の副作用 2 0 1 4
副作用なし 21 22 17 17
有用度 きわめて有用 0 0 2 1 90mL群>30mL群*

90mL群30mL群*

120mL群30mL群†

(やや有用以上)
有用 4 6 5 8
やや有用 3 5 6 5
どちらともいえない 11 8 5 4
有用でない 5 3 1 5

**危険率1%未満で有意差あり(P<0.01)
* 危険率5%未満で有意差あり(P<0.05)
† 危険率10%未満で有意差の傾向あり(P<0.1)

評価判定基準

全般改善度:
自覚症状全体を通しての概括改善度を判定の主要指標とし、これに他覚所見全体を通しての概括改善度を加味して5段階法で判定した。
安全度:
薬剤投与期間中における副作用の有無およびその程度を勘案し、5段階法で判定した。
有用度:
全般改善度と安全度に対する判定結果を総合的に勘案し、5段階法で判定した。

副作用

投与群 副作用名
30mL 頭痛
胃もたれ感
60mL 嘔気
90mL 頭痛
不眠
120mL 嘔吐
頭痛
口渇感
咽頭乾燥感
尿量増加、動悸、
胃もたれ感
胃部不快感

北原 正章他 15:2975.1987(一部改変)

本剤の用法・用量(一部抜粋)
メニエール病の場合には、1日体重当り1.5〜2.0mL/kgを標準用量とし、通常成人1日量90〜120mLを毎食後3回に分けて経口投与する。症状により適宜増減する。
必要によって冷水で2倍程度に希釈して経口投与する。